大雨に伴う農作物等の被害対策について(第1報)
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   平成16年7月19日
                  
                       福井県農業総合指導推進会議

1 水稲

 冠水の被害は、生育段階が出穂期に近くなるほど大きく、また、水の濁りが大きいほど、冠水期間が長いほど、さらに、水温が高いほど、被害が大きくなる。
 他県の事例によれば、出穂期における24時間の冠水により、奇形穂の発生および登熟歩合や千粒重の低下で10〜20%減収する。また6〜9時間の冠水でも茶米の発生によって品質格付けが低下した例がある。

 今回、本県では早生の出穂期に当たり、冠水時間は24時間を超えない圃場が大半であるが、濁流が冠水した圃場もある。このような圃場では、登熟低下に加え、稲が軟弱になるので、いもち病、白葉枯病や他の病害虫に侵されやすくなる。また、早生で品質被害、また、コシヒカリでは穂の出すくみや奇形穂等の発生が懸念される。
対策
(1)排水と今後の水管理
 一刻も早い排水を図る。しかし、冠水後の稲体は軟弱となっており水分ストレスを受けやすくなるので、当分は清水を浅く湛水するか、間断通水を励行する。
 土砂やゴミ・ムギワラ等が流入している場合はできるだけ排除し、押し倒された稲を起こす。
 土が5cm程度まで浅く堆積した部分では、溝を作って通排水路を確保する。畦畔が決壊した部分は早急に復旧する。

(2)いもち病
 いもち病が蔓延しやすいので、退水後直ちに防除する。早生では丁度穂いもちの防除時期にも当たるので必ず励行する。ブラシンは茶米・褐変籾にも効果があるとされる。

(3)その他の病害虫
 白葉枯病が過去に発生した地区または圃場では、発病に注意し、発生初期にシラハゲンSを散布する。
 イネツトムシ、アワヨトウも発生を認めたら早急に防除する。(イネツトムシにはディプテレックス、パダン。アワヨトウにはディプテレックス。)
 褐条病により株腐れをみることもあるが、有効な薬剤はなく、早期排水を図る以外ない。

(4)仕分け処理
 収穫・乾燥・調製に当たっては、刈取り前に品質を確認し、茶米や乳白粒の発生が著しい圃場は仕分け処理する。
 目安としては、早生で濁水が冠水した場合、または、比較的濁りが少ない場合でも冠水時間が24時間を超えた圃場は、品質低下の可能性が大きいと思われる。

2 大豆

(1) 圃場排水
 大豆が完全に水没した場合でも数時間程度であれば、展開葉が枯れて枯死したように見えても、やがて新葉が出てきて回復する可能性がある。植物体が水面上に出ている場合は1〜2日程度浸かっていても耐えることができる。
 しかし、それ以上の浸・冠水では根や根粒の呼吸が阻害され、立ち枯れ性病害の発生も起こりやすくなり、2日を超える浸・冠水では40%以上減収するとされている。
 従って、排水路等の水が引き次第、できるだけ早く圃場の排水に努める。
・ 暗渠排水があればフタを開け、地表の排水溝からも速やかに排水する。
・ 部分的に水が停滞している場所があれば、溝を掘って排出する。
・ 枕地培土が水をせき止めている場合は水がたまっている部分を切り通す。
・ 水害で泥水が流入して排水溝が埋まっている場合は、排水路への落とし口周辺など、とりあえず主要な部分だけでも溝をさらって排水に努める。

(2)培土による新根発生
 培土が完了していない場合はもちろん、既に実施した圃場であっても、葉の黄化が見られる場合には、土壌水分が下がり次第すぐに培土を行って、新根の発生を促す。本来は開花が始まるこの時期の培土は避けたいが、生育が良くない場合には生育の回復や除草のために、あえて培土を行うことも必要である。

(3)追肥による生育回復
 湿害による黄化や生育不良が見られる場合は、培土と同時に窒素成分で5kg/10a程度の追肥を行う。施用量が多いので尿素のような高成分の肥料を使うとよい。

3 野菜

・ ほ場内の停滞水は、根腐れや軟腐病の原因となるので、速やかに排水する。

・ 茎葉に付着している泥などの汚れを洗い流す。

  また、ゴミの流入が多い場合は、排水後速やかに処分を行なう。

・ 施設野菜で施設内に水が侵入した場合、速やかに排水を行なうとともに、換気を十分に行い土壌の乾燥を図る。

・ 果菜類では、根傷みによる草勢低下を防ぐため、果数制限、果房の制限、若もぎなどで着果負担を軽減する。
  また、トマト等では今後の強光、高温による芯葉の壊死などの発生を防ぐため遮光などを行なう。 

・ 根傷みや茎葉汚損により草勢低下が懸念される場合、回復のため液肥を葉面散布する。
  また、天候が回復してきたら、早めに畦間を中耕して土壌中に酸素を供給し根の回復を図る。

・ 倒伏した場合、排水後速やかに引き起こす。
・ 茎葉や果実が汚損して病害の発生が懸念されるので、適切な薬剤を散布する。

・ マルチを行なっている畦が冠水した場合は、マルチ下の土壌水分が過多となりやすいので、マルチをはいだり、畦肩の部分までめくりあげたりして、畦の乾燥を促す。

・ 被害が著しく回復困難であると判断される場合、速やかに、再は種・再定植する。

4 果樹

・ 圃場に長時間滞水すると、根が酸欠状態になって根腐れを起こすため、排水ポンプや浅 い溝を掘って表面水を園外に流す等、なるべく早く排水を図る。

・ 泥水が流入・堆積し、根の酸欠が懸念される場合は、応急的に株元の直径2m程度の泥を取り除く。園内の風通しを良くし土壌の乾燥を促進する。

・ 根傷みや葉の汚損により生育停滞や樹勢低下が懸念されるので、状況に応じて着果制限(摘果)する。

・ 根傷みにより干ばつ被害を受けやすくなっているので、敷きわら、敷草等を励行する。

・ 園内湿度が高くなり樹体の傷口から病気の感染の恐れがあるので、殺菌剤を散布する。

5 花き

・ 圃場内の停滞水は、根傷みの原因となるので、速やかに排水する。

・ 茎葉が汚損して病害の発生が懸念される場合、適切な薬剤を散布する。

・ 冠水により茎葉が汚れた場合は、圃場の排水に努めるとともに、可能な限り速やかな散
水等で汚れを落とす。

・施設については野菜に準じて排水等の対策を行う。

6 畜産
・ 畜舎が冠水した場合は、天候が回復しだい泥の排除、水洗を徹底し、乾燥させた後消毒を行う。機械器具等も洗浄、消毒を徹底する。

・ 冠水した飼料は廃棄する。

・ 衛生環境の悪化により疾病等の発生が懸念されるので、家畜の観察を徹底し、異常の認められる場合は、すみやかに獣医師、家畜保健衛生所に連絡する。

・ 泥を被った圃場の飼料作物は、基本的には刈り取り廃棄する。程度の軽い場合でも、調製後に変敗するので、給与の際十分注意する。

7 共通

 ・防除にあたっては、農薬使用基準に従って実施すること。

大雨に伴う農作物等の被害対策相談窓口設置のお知らせ

各農林総合事務所農業普及部・農業普及振興課(次のとおり)に、水害対策の農業関係相談窓口を設置し、農作物被害に係る技術対策の相談をお受けします。

福井農林総合事務所農業普及部          電話0776−21−0010(代)
坂井農林総合事務所農業普及部          電話0776−82−2800(代)
奥越農林総合事務所農業普及部          電話0779−65−1280(代)
南越農林総合事務所農業普及部          電話0778−23−4545(代)
丹生農林総合事務所農業普及振興課       電話0778−34−1790(代)

  相談窓口設置は、本日19日から23日(金)の8時30分〜17時15分です。